Opt Technologies Magazine

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技術ブログチーム代表がブログ運営チームに関わった約4年間を振り返る

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現Tech Magazineチーム代表とTech Magazine活動の関わりを、時系列順に振り返りながら近年のTech Magazine活動の取り組みについて紹介します。

本記事は技術広報 Advent Calendar 2023の9日目の記事です。

あいさつ

こんにちは。Opt Technologies Magazine運営チームの@natsuumeです。普段はAIソリューション開発部にてテキストに関するR&Dや、直近はChatGPTを活用したプロダクト開発に携わっています。

Opt Technologies Magazine(以下Tech Magazine)運営チームとは、本ブログの運営に携わるチームです。主には年間の記事公開ペースの決定や記事執筆に関する調整・進捗管理・レビュー・公開作業などを行います。Tech Magazineチームでは、2020~2021年頃から現在まで私がチームの代表を務めていました。

約3年ほど務めてきた運営チームの代表ですが、2024年からは私に代わり同じくTech Magazineチームの牧野さんに交代することになります。

(牧野さんが過去に執筆した記事はこちら)

今回は私がTech Magazineチームの活動とどのように関わってきたかを振り返りながら、ここ数年のTech Magazineチームとその周辺の活動や方針について紹介します。

なお、数年前の内容が含まれており若干記憶が曖昧なため一部(特に~2021年半ば頃まで)の内容について、時系列や時期に誤りが含まれる可能性があります。あらかじめご了承ください。

Tech Magazineチームでの取り組み

メンバーとしての参入(2019年)

Tech Magazineチームへの参加は、新卒1年目にエンジニア新卒研修に関する記事の執筆をしたのがきっかけでした。執筆の際に当時の運営チームから誘われ、そこから流れでTech Magazineチームとして活動を始めました。

当時のチームはCTO、エンジニア人事、有志エンジニアメンバーから構成され、チームの規模は5~8名前後だったと記憶しています。2019年時点では、少なくとも私の把握している範囲では具体的な目標やKPIなどは特に設定されておらず、社内外のイベント参加レポートを中心に書きたい記事・書いてほしい記事があれば書いてもらう、という比較的フリーな活動の一環という扱いでした。

そのため2019年は比較的緩く活動している形ではありましたが、その中でも活動の改善に関する取り組みは行っていました。このときに整備して現在も継承しているものとして、記事カテゴリの整備があります。

記事カテゴリの整備

以下の画像は私が当時作成したissueです。

ここに書かれている通り、当時のTech Magazineでは「カテゴリ」に関するルールが特に整備されておらず、それに伴ってブログサイドバーの「Category」欄も実質的に形骸化している状況でした。

私自身は就職活動の際などに比較的企業ブログの内容をチェックする方だったこともあり、その視点からすると特にサイドバーのカテゴリから新しい記事が見れないというのは良くない状況です。そこでカテゴリの整備は私主導でたたき台を作成し、それを運営チーム定例の場でブラッシュアップ・調整する形を取りました。カテゴリルールに関する具体的な提案内容は下記画像の通りです。

ざっくり言うと、カテゴリを「大カテゴリ」「中カテゴリ」「小カテゴリ」の3つに分けて管理する方針です。全ての記事には何らかの大カテゴリが付与され、サイドバーは大カテゴリを掲載することで全ての記事がサイドバーから辿れるようにしました。

また、大カテゴリについては

  • イベントレポート
  • 社内イベント
  • プロダクト
  • 技術解説
  • 職場環境
  • 新卒採用
  • 連載記事

として整備しました。目ざとい方はお気づきかもしれませんが、現行の大カテゴリは初期に整備した内容から少しだけ変更が入っています。当時は「職場環境」というカテゴリ名でしたが、継続的にTech Magazineを運用していくなかで「制度」に関する記事がどの大分類にも当てはまらないケースが出てきたため、現在は「職場環境」に「制度」という意味を統合する形で「制度・環境」というカテゴリに変更しています。

コロナ禍1年目のカオス、体制・組織変更(2020年~2021年上旬)

「エンジニアの1日」連載記事

2019年の終わり頃から2020年の上旬にかけてのTech Magazineチームの動きとして、採用・広報の方が主導した「エンジニアの1日」という連載記事の企画があります。

こちらはOpt Technologiesの公式ページにもいくつか記事のリンクが掲載されているので見たことがある方もいるかもしれません。「エンジニアの1日」シリーズは、当時としては珍しく比較的ダイレクトに採用への影響を狙った記事でした。こちらは第1回の記事から他の記事と比べて非常にたくさんの方々に閲覧いただいており、後述するTech Magazineの方針・意義の検討時にも大いに影響を与えました。

こちらは2020年では

の4記事の連続企画として実施されました。その後、コロナ禍による制度・環境変化等もあり2022年から追加の記事として

の3本が追加されました。「エンジニアの1日」は特に新卒採用の場において一定の反響があるため、今後も制度や環境に変化があれば新しい記事を追加していくなどの可能性もありそうです。

コロナ禍に伴う影響

先程も少し触れましたが、2020年からコロナ禍になり社内外の環境が大きく変化しました。特に影響が大きかった(と私が考えている)変化としては主に以下の2点です。

  • エンジニア採用の一時ストップ
  • 全社評価制度の変更

当時のTech Magazine活動は、特に明確な目標が定まった活動ではありませんでしたが大枠の扱いとしては「エンジニア採用活動に対する間接貢献」という形でした。そのため、エンジニア採用を一時ストップする判断とともにTech Magazine活動も一時ストップとなりました。

具体的には、2020年の8月~11月にかけてTech Magazineとして記事を出さない状況が続きました。当時リアルタイムでの判断としては不確実性の高い環境下だったため仕方ないとは思いますが、今振り返ってみるとTech Magazineの一時ストップという決定は結構大きな失敗だったと感じています。

というのも、これは後々の取り組みで過去記事のGoogle Analyticsを確認していてわかったことですが、2020年上旬は前述の「エンジニアの1日」シリーズ記事に加えて「「イラスト付き解説」BERTとELMo等(NLPはどうやって転移学習を突破できたのか)」など過去の傾向と比べて非常に閲覧数が伸びている記事が多く、その影響でTech Magazine全体の閲覧数も増加傾向にありました。

このタイミングで半年近く更新を止めてしまったため、それらで増加傾向にあった閲覧者数等の指標が再開後は完全に元に戻ってしまいました(2019年対比で見ても減少したと取れる指標もありました)。

また、Tech Magazineの取り組みは「エンジニア採用活動に対する間接貢献」という側面だけでなく組織文化的側面や学習・技術のキャッチアップ促進という側面もあると私は考えており、そういった観点からも採用に合わせてTech Magazine側の活動を止めてしまったのは大きな反省点です。

チームメンバーの変化

この時期は分社化や異動・退職に伴うTech Magazineチームのメンバー減少が続き、現在とほぼ同じ規模の4名前後のチームに徐々に変化していきました。私自身はこの流れの中で、定例の司会・ファシリテーターを務めていたところから自然とチームの代表として動くようになっていったように思います。

チームの出来事として特に影響があった内容としては、当時CTOだった平岩さんの退職がありました。Tech Magazineは私が入社するより以前の運用ルールなどが十分に整備されていなかったころに立ち上げた活動ということもあり、少しだけ移行には手間がかかったことを覚えています。

具体的には、当時のTech Magazineは組織で共同管理しているアカウントではなくCTOのはてなブログアカウントに紐づいている状態でした。そのため、それまでのブログの記事データを一度エクスポートした上で、新しく組織で管理しているアカウントに紐づいたブログにインポートする必要がありました。

(もっとも、この辺の作業自体はCTO自身が担当してくださったので、チーム側はそういった移管が必要なものや現行メンバーが情報を把握していないものをピックアップして情報確認する程度でしたが)

Tech Magazineチームとしての取り組み

この時期に新しく行ったことは社内向けの情報発信の強化とドキュメント整備です。

この時期からチームメンバーの減少等もあり、以前よりもより少ない人数で効率的に運営業務を回していく必要性が高まりました。そうした背景もあり、例えば記事の依頼時に決めるべき内容や記事公開時のフローなどドキュメント整備が不十分だった各種活動の流れのドキュメント化に力を入れていました。

また、社内エンジニアに対するTech Magazineの認知度向上や情報共有、執筆者の(多少の)モチベーションアップを目的として、月1回行われていたOpt Technologiesの全体会議にてTech Magazineのコーナーを毎回2分新たに設ける、なども行いました。

こちらは現在は組織体制の変化によってOpt Technologies全体会議という枠組み自体が無くなってしまったこともあり、それに合わせて全体会議での共有等は終了しています。現在は記事公開時にSlackにて周知、という形を取っています。

そのほか、2021年通年の目標としてプロダクトに関する記事発信を増やす事を掲げました。こちらについては結論、例年1~2本ペースだったプロダクト系記事を年間5件程度まで増やすことができました。

Tech Magazine活動の再定義・施策の提案(2021年下旬)

2021年下旬はTech Magazine自体の活動について大きく悩み、また大きく活動を変化させた時期です。当時は人事評価制度の刷新に伴う影響や比較的アウトプットを活発に行なっていたメンバーの離職等もあり、記事の案が出てこなかったり記事を打診しても業務都合で断られてしまうケースが多発していました。

そうした背景もあり、このタイミングで改めてTech Magazineの目的や意義、得られる効果とそれに伴う今後の活動方針について集中的に議論を重ねました。

Tech Magazine活動の再定義

Tech Magazine活動の再定義を行うにあたり、Tech Magazine発足の経緯がわかる資料を社内のGoogle Driveから発掘して読み返すところから始めました。その結果、Tech Magazineの設立時の意図したところを当時のドキュメントから簡単にまとめると、以下のような内容であることが分かりました。

  • 解決したい課題

    • エンジニア
      • 周りのエンジニアの知見を共有してほしい
      • 自分のノウハウを共有してFeedBackがほしい
    • マネージャー
      • 誰がどの分野に強い・興味があるのかが明確でなく、仕事のアサイン・評価が難しい(推測)
    • 採用担当
      • 外部からみて、Opt Technologiesの扱う技術やレベル感がわからないため、人が集まりにくい
  • 解決したい課題と現行の取り組み・ツールとの対応関係

    • エンジニア
      • 周りのエンジニアの知見を共有してほしい
        • 社内情報ツール・勉強会
      • 自分のノウハウを共有してFeedBackがほしい
        • 勉強会・個人ブログ
    • マネージャー
      • 誰がどの分野に強い・興味があるのかが明確でなく、仕事のアサイン・評価が難しい(推測)
        • 社内情報ツール・勉強会
    • 採用担当
      • 外部からみて、Opt Technologiesの扱う技術やレベル感がわからないため、人が集まりにくい
        • → 現状なし
          • 個人ブログは会社に紐づいていないため想定読者にリーチしない
          • 社内情報ツール・勉強会は社内向けなので外部公開を想定していない
  • 結論

    • 採用観点で外部向けの技術情報発信の場が足りていない

このドキュメントは私が入社する以前に作成されたものです。そのため当時の状況を正確に把握することは難しいですが、上記のような考えで主に採用への間接貢献を意図した場として設計されたことが分かりました。

それに対して、再検討を行った2021年下旬時点で挙がった課題は以下の通りです。

  • 解決したい課題
    • 積極的・継続的に技術的な発信をしているメンバーが減少している
    • 他チーム・他部署のプロダクト・業務で行っている内容が分からない
    • 社外から見たときに技術スタック・業務内容のイメージが掴みづらい

この際は、設立当初のように「エンジニア」「マネージャー」「採用担当」など立場ごとに分けて課題を挙げる形式にはしていませんが、挙がっている課題自体はほとんど共通していることが分かります。一方、「様々な取り組みやツールがこれらの課題に対してどの程度効果があるか」という観点では設立時とは意見が異なり、ほとんどの取り組みやツールにおいて、課題を解決するほどには効果が挙がっていないように思いました。

この変化は一言で言うと「アウトプット量の減少」の影響と言えます。具体的には、例えばAdvent Calendarや社内勉強会、社外向けイベントの発表者の減少や、社内情報ツール(esa)の利用者の減少などが見られました。Advent Calendarは積極的に推進するメンバーが不在となったため2020年を最後に行われておらず、社内勉強会も発表者があまり集まらない状態が続いていました。

※一応誤解のないように補足しておくと、ここで指す「アウトプット」とは組織内から観測できる範囲での業務プロダクト実装等を除いたものを指しています(当然、個人のブログでの発信等はこちらで知ることはできないため)。

そういった背景から、このタイミングで改めてTech Magazineの位置づけを「外部情報発信による採用への間接貢献」のみから、前述した他の課題へのアプローチも含めた包括的な活動として再定義することを決定しました。

加えて、既存の「採用への間接貢献」という観点についても一部修正を行いました。Google Analyticsの実績値や社内の状況を鑑みて、現実的に可能な内容として、採用貢献のターゲットと目的については以下のように再定義しました。

  • ターゲット
    • Opt Technologiesへの応募を検討している人, 応募者
    • 転職を検討して各社の情報を能動的に調べている人
  • 採用におけるTech Magazineの目的
    • 選考への応募の後押し
    • 入社の判断材料
    • 入社後のミスマッチ(早期離職)の防止

これは言い換えると、「OptTechnologiesを知らない人」や「能動的にOptTechnologiesの情報を集めに来ていない人」はTech Magazineの対象としては注力しない決定をした、ということです。

この決定をした理由はいくつかあります。今回注力しないことにした層へアプローチする場合、「組織のネームバリュー向上」を目的として活動する必要があります。しかし、ブログ記事によってネームバリュー向上を狙う場合、頻繁にTwitter(X)などで見かける企業のブログのように記事の量・質ともに高い水準が求められます。しかし、Tech Magazineに当てはめて考えると記事の絶対量が不足していることは明らかでした。

加えて、現在の組織リソースや社内の状況等を考えると、少なくとも直ちにネームバリュー向上に繋がるほど記事の量を増やしたりする工数を割くことは難しく、そういった観点から「ネームバリュー向上」はTech Magazineの目的からは外すこととしました。

改めてまとめると、2022年以降のTech Magazineの取り組みとしては以下を目的として取り組むことにしました。

  • 社内向け
    • 組織におけるアウトプット量の増加
    • (マネージャー以外も含む)メンバー間での業務内容や知見の共有
  • 社外向け
    • 選考応募や内定受諾の判断材料の提供
    • 情報不足からなるミスマッチによる早期離職の防止
記事公開の安定化・活性化のための施策

活動方針の検討と並行して、Tech Magazine活動自体の課題解消に向けた動きにも取り組む必要がありました。

Opt Technologiesは良くも悪くも「自由」を重んじる文化のある組織です。そういった文化的背景からTech Magazineや社外イベント、勉強会など、いわゆる開発業務以外の組織横断的な取り組みについては長らく運営側も執筆・発表者側もやりたいメンバーがやる、というある種の自主活動的な側面が強い状態でした。

一方で近年、そういった活動に積極的なメンバーの退職や人事・評価制度変更等の影響もあり活動の継続が難しくなりつつありました。

これらも含めて、当時のTech Magazine活動は主要な課題として以下のような課題を抱えていました。

  • 現在の記事執筆が編集部員を起点としたフロー以外ほとんど機能していない
    • 有志の編集部員のみで組織全体の状況を網羅的に把握するのは困難なため、依頼のマッチングがうまく行っていない
  • 上長等まで巻き込んだ明示的な業務調整を行っておらず、記事を執筆する分だけ執筆者の業務負荷が増加する
  • 記事の公開頻度が安定しておらず、自転車操業状態が続いている
    • 十分な更新頻度がない(廃墟化した)ブログはブランディング等の観点ではむしろマイナスに働く

これらの課題について、当初はTech Magazineチーム内で議論を重ねていたものの、「組織としてTech Magazineの活動にどの程度の工数を割くのか」という意思決定が必要な内容も多く、チームの裁量・権限で解決できる範囲を超えていました。

そのため、改めて前項で取り上げた現状分析と活動方針の再定義、そして上記の課題とその対策を今後のTech Magazine活動に関する施策提案という形で取りまとめ、マネージャー層を巻き込む方向にシフトしました。

施策の内容としては一定の単位(提案時点ではチーム・プロダクト・プロジェクト単位、後にマネージャー単位に変更)ごとに定期的な記事執筆を義務付けるルールで、Tech Magazineチームでは「持ち回り施策」と呼んでいます。

この施策は目標本数の調整はありつつも2022年・2023年と継続しており、従来の自主性に基づく組織横断活動からの転換という観点で私自身は組織としても非常に大きな変化だと捉えています。実際、この施策提案と同じような時期に社内勉強会でも持ち回り制が導入されるなど、良くも悪くも組織横断活動全般において有志だけで継続することの限界が見えはじめて「やりたい人だけやる」という体制からの脱却が模索され始めた時期なように思います。

施策の実行、横断活動の連携強化(2022年)

2022年はTech Magazineチームの活動としては基本的に粛々と持ち回り施策を進行していくのが主でした。とはいえそれ以外に何もしていなかったわけではなく、私自身は主に他の組織横断活動との連携を模索していました。

組織横断活動の連携強化

2022年頃に感じていた課題としてイベント、Tech Magazine、採用など組織横断活動が個々に目標や方針を定めており、全体最適になっていないという点がありました。また、それに加えて、組織全体の方針と個々の横断活動の目標のすり合わせが十分に行えているとも言い難い状態でした。

そういった状態の解消を目的として、私自身はイベントチームの定例にも参加するようにしたり、採用チームの定例に参加できないか打診したり(流石に個人情報等の観点から断られましたが)、横断活動チームの設置を提案するなどのアクションを行っていました。

組織横断活動を統括するチームの設置という案は当初は結構本気で提案していたのですが、同じくらいのタイミングでエンジニア領域の採用・広報・ブランディングを担当するポジションを立てる話が進んでいたこともあり、直接的に提案内容をそのものは採用されませんでした。変わりにその方と主要な横断活動の責任者からなる月次定例を実施することになり、各横断活動間の連携という点では一定の改善が果たされる形となりました。

持ち回り施策の振り返り

その他の活動として2022年1月から実施していた持ち回り施策についての振り返りと2023年に向けた準備も行っていました。

2022年に持ち回り施策を行った結果、「記事の安定的な公開」という点は著しく改善しました。持ち回り施策では月2本を全マネージャーに割り振る形を取っていたため、持ち回り施策以外で執筆した記事と合わせて年間で31本記事を公開することができました。

また、施策提案理由である課題の1つとして挙がっていた「有志の編集部員のみで組織全体の状況を網羅的に把握するのが困難なため、依頼のマッチングがうまく行っていない」という点については完全ではないものの一定の効果は得られたと感じています。マネージャーの方を施策に巻き込むことで、限られたTech Magazineチーム内では難しかったテーマの記事が増えたように思います。

とはいえ施策が全て順調に実施できたわけではなく、いくつかの課題も見つかりました。主な課題は以下の通りです。

  1. 執筆作業をマネージャーが担当することが多く、マネージャーのリソースを圧迫する
  2. 1.と関連して、少なくない記事でスケジュールの遅延が発生した
  3. 安定運用のフェーズに入っているプロダクトも一定数あり、施策の継続性に若干の難がある

施策を提案した私自身の想定としては各マネージャーの方からチームメンバーの方に業務調整を行った上でよろしくタスクを割り振って、マネージャー側の負担はレビューと業務調整がメインになると考えていました。しかし実際には、少なくない記事で執筆者が見つからない、などの理由でマネージャー自身が執筆を行うことがあり、それもスケジュール遅延の原因の1つとなっていました。

この点は、上でも少し触れた「自由」を重んじる文化の影響や、極端な話をするとマネージャーには目標本数という形でルールを設けましたが、一般のメンバーからすると自分が記事を執筆することによって得られるメリットが薄い(評価に全く反映されないわけではないはずだが、評価結果を変えるほどの重みはない)などの要因もありそうです。

また、目標本数についてはマネージャー会議で合意されたものではありますが「記事のネタがない/書く人がいないので書けません」と言われてしまうケースもごく一部存在しました。この場合でもTech Magazineチーム側には特にそういったケースで強制力を働かせたりペナルティを課す権限もないため、ルールと言いつつも実際にはマネージャーを巻き込んだ施策でさえベストエフォート的な対応にならざるを得ませんでした。

改めて振り返ると、マネージャー層に施策を提案するだけでは不十分で、組織方針や組織KPI、工数や人的投資の段階からTech Magazineをはじめとした組織横断活動や組織文化に関する取り組みにどの程度の投資をすべきかなど、より根幹に踏み込んだ議論が必要だったと感じています。

また、プロダクトのフェーズの問題で記事にする内容が不足するという点も、私自身は見落としていた点ではありました。記事の内容自体は業務で利用している内容に限定はしていないので個人的に気になる技術などでも問題ないのですが、その観点については個人ブログではなく会社のブログに書く理由付けという点に課題がある状態でした。この点は2023年も継続的に議論していたテーマです。

こういった課題があり、2023年の持ち回り施策については、2022年のうちに継続可否の判断はできず2023年上旬まで継続議論となりました(2023年は5月から持ち回り記事施策を実施)。

組織制度、組織方針への踏み込み(2023年)

2022年からの残課題として特に技術系の記事について「個人ブログではなく会社のブログに書く」というのをどうすれば促せるかという点がありました。

具体的な対応案としては、Tech Magazine活動に限らず多くの組織横断活動において関与者の減少が課題になっていたこともあり、Tech Magazine単体を対象にしたものではなく組織横断活動全般に対して何らかの実利のあるインセンティブを付与する案を検討していました。

これについては私がたたき台を作成し、主に部長2名と検討を勧めていたのですが、結論としてはエンジニア以外の全社に対する説明性の観点から断念することになりました。私自身は主業務以外の組織横断的な取り組みに関わることで得られることも多いと思っているので、理想的には全社的な制度としてそういった横断的な取り組みを促す仕組みがあると良いと思っています。とはいえ、今の段階でそこまで範囲を拡大して踏み込むのはあまりに道のりが長く無謀な取り組みだったため断念しました。

ただし、組織横断的な活動の維持が困難になりつつある、という課題自体は依然として存在しており解決が必要であることには変わりありません。そのため、別案として新卒研修や採用関連業務、マネジメント業務などのより広い内容を枠組みに含めた上で評価制度に組み込む案など、主業務以外の組織として必要な活動を継続していくための仕組みは引き続き検討しています。

来年の計画

2024年のTech Magazine活動は持ち回り施策の継続等も含めて現状まだ詳細が決まっていない状態です。近々マネージャー間でエンジニア組織の採用・広報・ブランディングに関する取り組みの方針や組織文化等に関する議論の場があると聞いており、その結論を見てから詳細は詰めることになりそうです。

ここまでの取り組みで、廃墟化しつつあった一時期の状態から記事を継続的に公開してTech Magazineを維持できる制度を整えるところまでは一定できたように思います。とはいえ課題の根本的な解決には至らず、続きは次の代表にお任せすることになりそうです。冒頭で述べた通り2024年からは代表を交代するため、そういった来年の方針検討も基本的には次期代表である牧野さんに主導していただく予定です。。

今だから言える振り返り

ここまで、ある程度時系列順に私がTech Magazineチームとして取り組んだ活動について紹介してきました。これは当然ですが、常に最善手を選べていたわけではないため今振り返ると反省点や「もっとこうしていれば」という点も多々あります。ここでは特に大きなトピックを2つ挙げます。

1つは、これは当時は経験不足だったので半ば仕方ないですが「結局、根本的にどうにかするには組織文化や組織方針のレベルに踏み込まないと解決が難しい」ということに気づかなかった(あるいは目を背けていた)点です。2021年~2022年の施策提案段階でこのあたりの視点を持てていれば、もう少し動き方を変えられた気はしています。もちろん、実際には紹介したような取り組みの段階を踏んだことによって視野が広がっていたという面が大きいので難しいのですが……。

もう1つの反省点は、代表としての権限や組織的なポジションを要求すべきだった、という点です。Tech Magazineチームとして活動している中で度々感じていた難しさの1つとして、チームの実行レイヤーに組織におけるマネージャーのロールを持つメンバーがいなかったというのがあります。マネージャー会議等で説明責任を持つマネージャーという形では一応存在しましたが、チームの活動や議論等には参加せず、主には実行責任者である私と、私が参加できないマネージャー定例などのレイヤーでの議論の場の橋渡しとしての役割に留まるものでした。

そのため、どうしてもマネージャー会議での議論内容が又聞きにならざるを得ず、マネージャーの詳細な温度感等までは把握することができませんでした。2022年から定例に参加しているイベントチームなどでは部長が実行のコアメンバーとしても活動しており、そちらと比べると動きにくさはどうしても感じるところではありました。この点は、私自身必要性を感じつつも、Opt Technologiesにおけるマネージャーのロールは開発プロジェクトやチームなど主業務においてのピープルマネジメントや評価も含めたポジション、という形しか先例がない状況だったため組織横断活動の枠組みでのマネージャーのロールの可能性について踏み込み切れなかった部分ではありました。

活動をやって良かったこと

最後に、Tech Magazineチームの活動とその代表という活動をやって良かった点についても紹介したいと思います。

1つは組織マネジメント的観点など、以前よりもより広い視野を持つことができるようになった点です。私の所属はAIソリューション開発部のため、主にはAIのR&Dやその成果の活用に取り組んでいますが、個人視点、チーム視点、クライアント視点、組織視点など横方向と短期、中期、長期など縦(時間軸)方向の両面で以前よりもより広く様々な視点から要件や方針について検討できるようになったと実感しています。

また、1つめと関連して、キャリアの方向性として組織マネジメントや組織文化等に興味をもつ良いきっかけになった、というのもあります。

そのほかに、要件や施策の検討・組み立て、実行推進やリーダーとしての経験を積むことができたという点です。例えばミーティングでのファシリテートやメンバーにタスクを振ったときに自分がどの程度関与すべきかや、組織方針などの検討や提案を行う際の考え方など、この活動を通して得たことは様々です。

(元々ミーティングであまり発言ができないタイプだったので、今ミーティングで普通に議論に参加できるのも地味にTech Magazineチームでしばらくファシリテートをしていた影響もあると思っています。)

まとめ

今回は私と弊社技術ブログであるOpt Technologies Magazineの運営チーム(Tech Magazineチーム)との関わりについて、振り返ってきました。

整理された何らかの知見や理論の共有という形ではありませんが、本記事の内容が少しでもお役に立てば幸いです。

Opt Technologies ではエンジニアを募集中です。カジュアル面談も可能ですので、下記リンク先よりお気軽にご応募ください。