cluster を用いてイベントを開催した時に気づいた知見をまとめてみました。
はじめに
こんにちは、エンジニアの@hey_cubeです。
しばらく前に普段の仕事ぶりを晒されたのですが、新型コロナウイルスの流行により働き方が大きく変わりました。
普段の開発業務は全てリモートでの勤務となり、主催するイベントも延期や中止を余儀なくされました。
それでも技術イベントを開きたい!ということで、型システム祭りオンラインと俺得 Slack App LT 会を cluster というサービスを利用して開催しました。
そこで本記事では、cluster を用いてイベントを運営してみた知見をご紹介します。
(もし誤った内容があったら Twitter の DM で教えてください。)
cluster とは
公式サイトより引用:
「cluster (クラスター)」は、スマートフォンや PC、VR 機器など様々な環境からバーチャル空間に集って遊べる、マルチプラットフォーム対応のバーチャル SNS です。音楽ライブや発表会などのイベントの他、いつでも参加できるバーチャルワールドでチャットやゲームを楽しめます。
cluster を用いることで、音楽ライブやファンミーティング、トークイベントなどを無料で開催できます。
収容人数は数万人規模でも可能*1で、チケットを販売するような有料イベントも実現できます*2。
Cluster Creator Kit を利用すれば、イベント会場を自作することもできます。
イベントの様子はこんな感じ
cluster のメリット・デメリット
メリット
実際に使ってみた感想としては、以下の点に魅力を感じました。
- 運営スタッフ・登壇者・参加者全員が任意の場所から参加できる
- エモーションが豊富で盛り上がる
- エモーションの使い方はこちら
- 任意の音楽を会場に流せる
- 任意の動画や PDF をスクリーンに流せる
- アップロードできるファイルの種類とサイズ上限はこちら
- 任意のアバターで発表できる
Zoom などのサービスと決定的に違うのは、ずばり臨場感です。
効果音と共にリアルタイムで弾けるエモーションは、単なるビデオ通話サービスよりも明らかに技術イベントに向いています。
音楽や動画を通して会場の雰囲気を構築しやすいのも魅力です。
もしお気に入りの VRM モデルを持っているならば、それを着て登壇することもできます。
拙作のアバターで登壇している様子
デフォルトアバターはこんな感じ
デメリット
運営時に気をつけなければならない点は以下の通りです。
- 運営スタッフも登壇者も参加者も cluster の操作に慣れていない
- Zoom などと比べるとスライドが見づらい
- PC 版を利用する場合はそれなりのマシンスペックと回線が必要
- マイクとスクリーンを使うにはスタッフ権限かゲスト権限が必要
- PDF と動画しかスクリーンに流せない
- ライブコーディングや制作物のデモなどができない
普段 PC ゲームに興じている方なら問題ありませんが、そうでない方も大勢来場します。
そもそもマシンスペックが足りずに入場できなかったり、入場できても移動すらままならない方がほぼ確実に出ます。
マシンスペックが足りない方向けに YouTube Live を併設したり、スマホ版 cluster を紹介したりすると良いでしょう。
権限の関係や投影できる資料の制約など、登壇者に事前に説明すべき事項も少なくありません。
登壇者向けの簡単な説明資料を作成・配布しましょう。
イベント運営の流れ
cluster 特有と思われる作業を以下に列挙します。
事前準備
1. cluster のイベントを作成する
まず cluster のイベントを作成します。
開催日時は後から変更できないので、間違えないようにしましょう。
ちなみに会場が利用できるのは開場から 4 時間です*3。
YouTube Live を併設する場合、ライブ URL を設定することでコメント連携ができます。
cluster だけでは参加人数を推し量ることができないので、もし不安なら connpass などにもイベントページを作成すると良いでしょう。
2. スタッフを集める
およそ以下の役割が必要になります。
- 司会
- 音響
- タイムキーパー
- 登壇者とのコミュニケーション
- トラブルに見舞われた参加者のサポート
- YouTube Live 配信
ある程度兼任できますが、最後の配信だけ作業の性質上それしかできません。
YouTube Live で配信する場合は、少なくとも 3 人以上は必要でしょう。
YouTube Live 配信にはある程度の熟練とそれなりのマシンスペック・回線が必要です。
慣れている人を探すか、事前に何度か練習をしておくと安心です。
また、cluster での発表に慣れている人がまだ少ないため登壇者が集まらない可能性もあります。
そんな時のために社員で枠を埋められる算段を立てておくと後々憂き目を見ずに済むかもしれません。
3. 登壇者に連絡する
以下を登壇者に伝えます。
- PC で操作する場合はある程度のスペックと回線速度が求められること
- 権限を渡さないとマイクが使えないこと
- スクリーンには PDF か動画しか映せないこと
- スクリーンの比率はこちら(基本的に 16:9)
- アップロードできる VRM にはポリゴン数などの制限があること
スライドショーでは普段あまり使わない PDF を使うことになるので、表示崩れが起きていないかなどの事前チェックを促せるとベターです*4。
また、会場の性質上スライドが見えづらいため、文字や図表は出来るだけ大きくしてもらいましょう。
加えて、ゲストまたはスタッフに追加するために cluster ID を聞いておきます。
当日追加しても良いですが、マイクの音が入らないなどのトラブルが発生するとかなり混乱するので、予めイベントページから権限を付与しておくことをお勧めします。
4. 会場で流す音楽や前説資料を用意する
プリセットの BGM もありますが、良い感じの mp3 を用意しておけばそれを流すこともできます。
型システム祭りオンラインでは、休憩時間に BGM を流したり LT の終了時間にドラの音を流したりしましたが、結構面白がってもらえました。
また、操作に慣れていない方も多いはずなので、cluster のことを簡単に説明する資料を用意しておくとスムーズです。
ちなみに、cluster 公式が cluster の使い方というスライドを用意してくれています。
当日
1. YouTube Live での配信を開始する
YouTube Live で配信をする場合は、イベント開始と同時に配信を開始することになります。
cluster の UI 非表示機能 *5を使って会場の様子を PC のモニターに映し、それを配信ソフト*6に読み込ませて配信します。
2. 良い感じの BGM を流す
BGM を流しつつ、イベント全体の各種音量も調整しておきましょう。
3. 登壇者全員のマイクをテストする
会をなるべくスムーズに進めるべく、マイクテストは事前に行っておくことをお勧めします。
各位のマイク音量などもここで調整しましょう*7。
もし音声が入力できない場合は、以下を確認してください。
- マイクを複数台接続していないか
- OS の音声設定上での規定の入力デバイスが今使っているマイクになっているか
- cluster 上でゲスト権限またはスタッフ権限が割り当てられているか
- 権限を正しく割り当てたはずなのに反映されない場合は cluster を落としてから再入場すると解決する場合がある
- ゴースト状態になっていないか
4. 入場できない参加者をフォローする
Twitter などでトラブルを報告している参加者がいたら、可能な限りフォローしましょう。
例えば NTT ぷららを利用している場合、アクセスできないことがあるようです。
どうしても cluster に入場できない場合は YouTube Live に案内しましょう。
5. cluster の使い方を説明する
用意した資料を使って操作説明をします。
積極的なコメントやエモーションを促しましょう*8。
コメントはスクリーン横に流れます
6. タイムテーブルを管理する
cluster は 4 時間で強制的に終了します。
時間をオーバーしないよう気をつけましょう。
最後に
今後も他者との物理的な接触を避けなければならない状態は続くと思われます。
この記事が皆様の活動の一助となれば幸いです。
それでは良き cluster ライフを!
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*1:参加人数が多い場合は一部の参加者がゴーストになります
*2:有料イベントを希望される場合はこちらから Cluster 社にお問い合わせください
*3:4 時間を超えるイベントを開催したい場合は cluster 上のイベントを複数作るか、Cluster 社に相談してください
*4:型システム祭りオンラインでは、日本語がうまく表示できないというトラブルが発生しました
*5:カメラマンモード機能の方が高機能ですが、マウス操作が cluster に奪われてしまうので注意が必要です
*6:俺得 Slack App LT 会では OBS Studio を利用しました
*7:個々人のマイク音量を cluster 上で操作することはできないので、マイクを物理的に口から離したり PC の設定でゲインを弄ったりする必要があります
*8:ゴースト状態の方のエモーションは周囲から観測できません