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AWS請求代行という錬金術

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あいさつ

こんにちは! Opt Technologies の阿部将樹です。ほぼフルリモートで働いている宮城県在住の地方エンジニアです。
広告運用オペレーション関連のプロダクトのインフラを横断的に管理運用しています。

概要

本記事は弊社で昨年検討を行った、AWSを得意とするSIベンダー各社の一部が提供しているAWS請求代行サービスを活用し、現在のAWS利用コストをさらに最適化するための施策を紹介するものです。
大仰なタイトルをつけてしまいましたが、AWS公式ドキュメントに絶対に書かれることが無いコスト最適化施策だと思うので、ご存じない方には参考になるかもしれません。

なお本記事ではAWSの請求代行サービスについて紹介しますが、GCPについても同様のサービスが各GCPのベンダーより展開されていて、こちらもコスト削減施策として弊社に導入済みです。

AWS請求代行とは

AWS請求代行とはユーザが利用したAWSの支払いをAWSのSIベンダー企業が代行して請け負い、ユーザはSIベンダーから改めて請求されたコストを支払うというものです。加えてこのサービスを利用することでSIベンダーが提供するコスト管理ダッシュボードの利用や、日本円での請求、割引などをサービスを受けられることがあります。

例えば株式会社サーバーワークスが提供するAWS請求代行サービス ディスカウントでは、請求代行サービスを利用することで請求額から5%のディスカウントが提示されています(2022年1月現在)。以下に他社の請求代行サービスの例を示します。

請求代行サービスの例(2021年1月現在)

なぜ請求を代行してもらうだけで割引まで適用されるのか

本章は推察の部分が多いです。事実と大きく異なることが判明した場合訂正することがあります。

AWSにはAWSを商材として取り扱う各社とのパートナープログラムがあります。AWSのパートナープログラムにはレジスタードからプレミアまでのパートナーティアが設けられており、ベンダー企業が上位のパートナーティアとなるためには、企業内のAWS資格保有者の数や一定のAWSの売上などが条件として設定されています。

AWS請求代行サービスは一見請求を代行することのみで、ベンダー企業側にディスカウントまでうたって集客を行うメリットが無い用に見えますが、ユーザーのAWS利用額をベンダー企業によるAWSの売上とできるためパートナーティアの向上や維持による自社のブランディングという観点でベンダー企業にもメリットがあります。

弊社で導入する際課題となったもの

では実際に弊社において、AWS請求代行サービスを導入するにあたり課題となったものを紹介します。

弊社では一部プロダクトにおいて、プロダクトごとに個別のAWSアカウントを作成しているため、多数のAWSアカウントがありそれらをAWS Organizationで一元管理し請求などを取りまとめていました。
またOrganizationの機能を利用し、AWSのSavings PlansReserved InstanceなどをOrganization全体で共有し、複数アカウントのコスト最適化を一括で管理していました。

多くのAWS請求代行では、請求代行サービスを利用開始するとベンダー企業が保有するAWS Organizationsに自社のAWSアカウントを移籍させることで、AWS利用料の請求をベンダー企業に移管します。そのため、弊社においてそのまま請求代行サービスを利用すると、現行の運用が大きく変わってしまう懸念がありました。

詳細は伏せますが今回の弊社の導入の際は、相談させていただいたベンダー様に社内調整いただき弊社向けにサービスをカスタマイズ頂くこととなりました。

まとめ

  • AWS請求代行とはAWSの支払いをベンダー企業が代行して請け負うもの
  • 請求代行サービスには利用することでAWS利用額に数%の割引が適用されるものがある
  • 請求代行することでベンダーにはパートナーティアを維持・向上しブランディングできるメリットがある
  • 請求代行はベンダー企業のAWS Organizationsに自社のAWSアカウントを移管することで実現されることが多い

所感

割引額が比較的低いもので2%、大きいもので7%もの割引が適用される請求代行サービスがあります。またこれは各社のHP上で公開されているもので、実際にベンダーに相談した際に異なる割引額が提示される可能性もあります。

自社に導入している手前こんなことを言える立場ではないのですが、個人的にはこのまま値引き合戦が続いたり、資金力のあるベンダーに巻きとられていったりすることが、今後AWSというエコシステム全体の盛り上がりにつながるのか不安に思ってしまいます。一方で、ユーザとしては割引によって残った予算をさらなるAWSサービス活用に生かしていきたいとも思っています。

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