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入社 1 年目のエンジニアが PC を自作してみた

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社内エンジニアによる、PC の自作ログです。

あいさつ

こんにちは。チーフアーキテクト室の西川です。各広告媒体から成果レポートを取得するサービスの運用・保守を行っています。

昨年の 8 月に実質第 2 新卒としてオプトに入社したので、そろそろ入社から 1 年が経ちます。社会人としての生活に慣れつつある折にゴールデンウィークが来たので、前々からやろうと思っていた PC の自作をすることにしました。PC を自作するのは初めてだったので、初心者目線の記事として、これから PC を自作する方の参考になれば幸いです。

動機

PC を自作する前は、2017 年に購入した MacBook Pro を 6 年間使い続けていました。しかし長く使っているだけあって、バッテリーが著しく劣化している、たまに動作が不安定になる、などの問題がやはり現れてきました。バッテリーを交換すればまだ使えそうでしたが、交換費用が高く、また最新のコンピュータの性能を体験したかったのもあり、PC を新調することにしました。

PC の選択肢は多くありますが、そのカスタマイズ性能の高さに惹かれ、PC を自作することにしました。macOS は選べませんが、元々 OS にこだわりはなかった上、使いたいアプリケーションが Windows でしか動かないことがしばしばあったので、Windows に乗り換えることにしました。

自作 PC の勉強

とはいえ当時は自作 PC の知識がほとんどなかったので、『PC自作の鉄則!2023』を読んで勉強しました。 最新の PC パーツ事情以外にも、各 PC パーツの基礎知識、組み立て方などの入門的な内容も載っており、とても参考になりました。

PC パーツの最新の情報を得る上では、価格.com が参考になりました。PC パーツは価格変動が大きいので、現在の価格の情報が得られるのはありがたいです。また、最近発売された PC パーツが載っているのも便利です。実際、今回 CPU として選んだ Intel Core i5 13500 は今年 1 月に発売されたもので、このサイトでその存在に気づきました。

PC の構成

CPU: Intel Core i5 13500

Intel® Core™ i5-13500 Processor

開発でのビルドや Docker などの仮想化技術は処理能力が求められるので、ミドルエンド以上の性能は欲しいと考えていました。一方、初めての自作 PC で手間のかかる水冷はやりたくなかったので、排熱が多すぎるハイエンド CPU は避けました。

これらを踏まえると、Intel Core i5 と AMD Ryzen 5 が最有力候補となりました。Intel と AMD のどちらを選ぶかにこだわりはありませんが、Intel 第 12 世代で導入された P コア・E コアモデルを試したかったので、今回は Intel を選びました。

Intel Core i5 の中でも、今回は 13500 を選びました。13600K よりクロック周波数やメモリ速度などの性能は劣りますが、コア数は同じ 14 コアで 1 万円近く安いということで、コストパフォーマンスはかなり良いと思います。

CPU クーラー: リテールクーラー

Intel Core i5 13500 BOX に同梱されていたリテールクーラーを使っています。今のところは、ファンがうるさいと感じることはほとんどなく、CPU 温度は高くても 60 ℃前後に留まっています。

GPU: Intel UHD Graphics 770 (内蔵 GPU)

高いフレームレートやレンダリング性能が要求されるゲームは普段遊ばず、マイニングや機械学習をするつもりもないので、内蔵 GPU で様子見としました。

一方で、そのうち VR に手を出そうと思っています。そのときは NVIDIA GeForce RTX 3060 辺りの性能のグラフィックボードを買おうと考えています。

マザーボード: ASUS TUF GAMING B760-PLUS WIFI D4

TUF GAMING B760-PLUS WIFI D4|Motherboards|ASUS Global

マザーボードは他のパーツと比べて指標が多く、選ぶのに最も困りました。結局 PC ショップの店員の方に訊き、勧めていただいた ASUS TUF GAMING に決めました。説明書が日本語で、組み立て方が図付きで詳細に載っていたのがありがたかったです。

ASUS TUF GAMING の中でも、Intel 第 13 世代に対応しているモデルに B760 と Z790 があります。Z790 の方が性能が良いですが、B760 でも性能は十分ということで、今回は B760 を選びました。

メモリ: DDR4 PC4-25600 16GB×2 (CFD Standard)

W4U3200CS-16G | CFD Standard DDR4-3200 デスクトップ用メモリ 2枚組 16GB | CFD販売株式会社 CFD Sales INC.

マザーボードが対応している上限の動作周波数のものにしました。

余談ですが、自作 PC について学ぶ際にメモリの安さに驚きました。ノート PC ではメモリを 8GB から 16GB に増やすのに数万円かかるのが普通なので、「メモリはとても高価なものだ」という先入観がありました。それに反して、今回選んだ CFD Standard 16GB×2 は 32GB もありながら 8,000 円弱と、予想していたより遥かに安価でした。

SSD: M.2 PCIe 4.0 1TB (Western Digital)

WD_BLACK™ SN770 NVMe™ SSD | Western Digital

後述の通りストレージはあまり使わないのですが、SSD の容量は後の動作速度にも影響するということで、かなり余裕を持って 1TB にしました。とはいえ、今思えば 512GB で十分だった気もします。

HDD: なし

画像や動画の編集をする予定はなく、加えてデータは基本クラウドに保存しているので、HDD は載せないことにしました。

電源: 550W 80+ BRONZE (玄人志向)

KRPW-BK550W/85+ | 80PLUS BRONZE取得 ATX電源 550W(プラグインタイプ) | 玄人志向

今回の構成に NVIDIA GeForce RTX 3060 を載せると 273W になるので、その倍に近い 550W を選びました。

また今回選んだ電源は、余ったケーブルを取り外せるプラグイン式です。配線がスッキリするのでおすすめです。

ケース: NZXT H5 Flow

H5 Flow | High Airflow Gaming PC Case | Gaming PCs | NZXT

デザインにこだわりはなかったので、PC ショップの店員の方に勧めていただいた NZXT H5 Flow にしました。裏に配線用のスペースがあり、配線がまとめやすかった点が好印象です。

OS: Windows 10 Home

5 年ほど前に買った 1 Windows 10 Home を使いました。値段は覚えていませんが、10,000 円強だったと思います。

なお執筆時点では Windows 10 から 11 への無料アップグレードが提供されており、またその提供期限も設けられていません。ただし将来的に無料アップグレードが提供されなくなる可能性はあるので、古いバージョンの Windows を入れる際は事前に調べておくといいでしょう。

周辺機器

デスクトップ PC はキーボード・マウス・モニターなどの入出力デバイスがないと何もできません。特にノート PC から移行する場合は、買い忘れないよう注意が必要です。筆者は MacBook Pro を使っていた頃から外付けのキーボード・マウス・モニターを使っていたので、今回は追加で買うものはありませんでした。

値段

以上のパーツを、2023 年 5 月 4 日に PC ショップで購入しました。参考ということで、セールや追加保証による値段変動は除外しています。

パーツ 商品名 値段(円) 備考
CPU Intel Core i5 13500 BOX 36,880
グラフィックボード なし 0 CPU 内蔵
マザーボード ASUS TUF GAMING B760-PLUS WIFI D4 29,980
メモリ CFD W4U3200CS-16G 7,780
SSD W.D Black SN770 WDS100T3X0E 12,650
HDD なし 0
電源 玄人志向 KRPW-BK550W/85+ 6,890
クーラー なし 0 CPU 付属
ケース NZXT CC-H51FB-01 11,680
OS Windows 10 Home (10,000 ?) 昔購入したもの
全体 105,860 OS 除く

OS 抜きで 10 万円強に収まりました。グラフィックボードなしのミドルエンド PC としては、標準的な価格になったのではないかと思います。

組み立て

PC パーツが揃ったら、いよいよ組み立てていきます。組み立て方は先程紹介した『PC自作の鉄則!2023』に従いました。全体の流れは本で確認し、各パーツの載せ方は各製品の説明書で確認するのが一番確実かと思います。

まずはマザーボードに CPU、クーラー、メモリ、SSD を載せていきます。クーラーは裏面にグリスが塗られており、一度付けると外すのが面倒です。付ける前に手順をよく確認しておくといいでしょう。SSD は規格によって手順が大きく異なるので、自分の SSD がどの規格かをちゃんと調べて、手順を確認しましょう。

マザーボードを組み終わったら、ケースに載せていきます。ケースのケーブルをマザーボードの端子に挿すのですが、どちらも数が多く、どれがどれに対応するかを調べるのに時間を費やしました。ケーブルの先端とマザーボードの端子の形は特徴的なので、説明書と照らし合わせて根気よく調べましょう。

マザーボード

背面

これで PC が組み終わりました。筆者が組んだときは、マザーボードを組むのに 1 時間、ケースを組むのに 1 時間半ほどかかりました。

PC 全体

次はいよいよ起動していきます。かなり慎重に作業したおかげか、今回は一発で UEFI が立ち上がりました。再起動して Windows 10 の入った USB を挿し、Windows 10 のインストール・起動にも成功しました。

UEFI

しかし、ここから Wi-Fi を有効化するのが大変でした。今回入れた Windows 10 のバージョンが古すぎて、マザーボードの公式ページで提供されている Wi-Fi のドライバをインストールできなかったためです。幸いにも LAN のドライバはインストールできたので、LAN ケーブルを繋いで Windows 11 にアップグレードし、事なきを得ました。

性能

CPU のベンチマークとして CINEBENCH を実行した結果、19,269 pts でした。ただし実行中に排熱しきれず CPU 温度が 100 ℃ 近くまで上がったので、性能の良いクーラーならもう少しスコアが上がりそうです。

CINEBENCH Windows

ちなみに以前使っていた MacBook Pro でも CINEBENCH を実行した結果、1,763 pts でした。6 年前のノート PC なので仕方がないですが、文字通り桁が違う結果となりました。

CINEBENCH macOS

まとめ

自作 PC 初心者の組み立てレポートでした。これから PC を自作する方の参考に少しでもなれば幸いです。 筆者はまだまだ新米エンジニアですが、これからもこの PC と共に、エンジニアとして開発経験を積んでいけたらと思います。

Opt Technologies ではエンジニアを募集中です。カジュアル面談も可能ですので、下記リンク先よりお気軽にご応募ください。


  1. MacBook Pro でデュアルブートをしようと思って買ったものです。結局デュアルブートは使い心地が微妙でやめてしまいましたが、思わぬ形で再び役に立ちました。