Opt Technologies Magazine

オプトテクノロジーズ 公式Webマガジン

第2回 5分くらいで読めるエンジニアのためのインターネット広告講座

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こんにちは自称アドテクおじさんのhiraivaです。少し間が空いてしまいましたが、忙しいエンジニアでも5分で読めて、インターネット広告の基本的なところがわかる読み物を目指して、この企画をやっていきます。

なお、この記事はOpt Technologies Advent Calendar 2016の3日目です。(遅れてごめんなさい><)

極力中立的に書きたいと思ってはいますが、本メディアはOpt Technologiesのメディアなので、オプトの事業内容に偏っている内容があります。あらかじめご認識ください。

第2回 インターネット広告の主流〜運用型広告

運用型広告

2015年 日本の広告費によると、年間9,194億円と推定されるインターネット広告媒体費の約67%が運用型広告と呼ばれるジャンルの広告になります。

運用型広告とは純広告(枠売り広告)と対になる概念です。(純広告はよく「純広」と略されます)

分類 説明
純広告 広告枠を持つメディアないしその仲介業者と直接取引することで、広告枠を購入し広告を出稿する広告
運用型広告 システム化された広告枠のネットワーク*1を介し、システム的に枠を買い付け運用する広告

純広告は完全にシステム化されておらず、人が介する取引によって、決まった枠に決まった分だけ広告が出る、というイメージです。

一方、運用型広告はシステム化されているため、広告の運用者はシステム上でターゲティングや費用の設定をし、その設定によって自動的に広告が表示されていきます。

運用型広告はネットワークを介してシステム的に表示されるため、純広と違いどの面にどの広告が出るのか制御しづらいのですが、運用者が配信設定を細かく調整することなどによって広告出稿の費用対効果を最大化する運用が可能になります。そのため、例えるなら株式運用のような、きめ細やかな広告運用が必要になってきます。

様々な運用型広告フォーマットと媒体

運用型広告には、リスティング広告ディスプレイ広告を中心として、様々な広告フォーマットがあり、それらを提供する様々な広告媒体があります。特に新興の広告媒体や広告フォーマットは様々な分類が考えられますが、ここではオプト基準かつエンジニアにも理解しやすいであろうざっくりとした分類でまとめてみました。

リスティング広告

検索連動型のテキスト広告で、Googleなどで検索すると検索画面に表示される広告です。検索キーワード単位で入札することで広告を出稿でき、インプレッションはそれほど伸びないですが、CTR*2やCVR*3の高い刈り取り型の運用が可能な広告媒体として知られています。広告運用の現場では「サーチ」と呼ばれることもあります。

リスティング広告は多くの場合CPC*4課金*5の広告です。

ディスプレイ広告

様々な媒体の四角い広告枠に、主にバナー画像などを表示する広告です。動画やレコメンド広告など、ディスプレイ広告枠の中であれば様々な表現ができます*6。RTB*7とかDSP*8とかSSP*9とか、聞いたことがある人も居るかもしれませんが、RTBによってDSP-SSP間で取引される広告枠は主にこのディスプレイ広告枠になります。

ディスプレイ広告は多くの場合CPM*10課金の広告です。

アフィリエイト広告

CPC課金であるリスティングやCPM課金であるディスプレイとは違い、コンバージョンに対して広告費が発生するものがアフィリエイト広告です。リスティング広告やディスプレイ広告が隆盛する前からインターネットに存在する広告で、物販系の訴求でよく使われます。

アプリ広告

リスティングやディスプレイは主にブラウザで閲覧されるWeb上の広告枠ですが、スマートフォンアプリの中にも広告枠が増えてきました。普通のバナー広告に加え、インタースティシャル広告*11など比較的自由な広告表現ができるほか、cookieではなく広告IDと呼ばれるモバイル端末用のIDを使ってターゲティングを行うことが特長です。

ソーシャルメディア広告

FacebookTwitterなどのソーシャルメディア上に展開される広告です。大手媒体では専用のマーケットプレイスがあり、独自フォーマットの広告枠が豊富だったり、ソーシャルグラフを活かしたターゲティングが可能になっていることが多いです。

ネイティブ広告

比較的新しい広告フォーマットで、広告が表示されるメディアに溶け込み、メディア自体のUXを防げないばかりか、メディアのコンテンツと同様のUXをユーザーに提供する広告です。テキスト中心で様々なフォーマットがありますが、通常の広告とはクリエイティブに対する考え方が大きく違い、謂わばメディアのコンテンツに対してネイティブである広告と言えます。

参考) ネイティブ広告の定義と用語解説│JIAA

LINEというメディアにおいて、LAPは運用型広告と言えますが、LAP以外の広告媒体(公式アカウントなど)は運用型広告でなく純広という位置づけになります。

まとめ

様々な広告媒体や広告フォーマットがあって覚えきれませんね!機会があれば、実際に運用型広告を運用してみると、どういうものかわかりやすいと思います。

運用型広告は謂わばアドテクノロジーにとっても主戦場と言える大きな領域です。大きい分類から、少しずつ理解していってもらえればと思います。

さて、次回はインターネット広告に関する大きな考え方であるダイレクトレスポンスとブランディングについて触れていきたいと思います。

目次:5分くらいで読めるエンジニアのためのインターネット広告講座
筆者紹介

tech-magazine.opt.ne.jp

*1:アドネットワーク, アドエクスチェンジ, アフィリエイトネットワーク, RTB(DSP,SSP), PMP etc...

*2:Click Through Rate: インプレッションに対するクリック率

*3:Conversion Rate: クリックに対するコンバージョン率

*4:Cost Per Click: クリック1回あたりの価格

*5:AdWordsなどではPPC(Pay Per Click)広告と呼ばれたりします

*6:広告媒体の特性やレギュレーションで表現できることは変わります

*7:Real Time Bidding: リアルタイムオークションによる広告枠取引

*8:Demand Side Platform: 広告枠を求めるデマンドサイドがRTBによって広告枠を買い付けるためシステム

*9:Supply Side Platform: 広告枠を提供するサプライサイドがRTBによって広告枠を販売するためのシステム

*10:Cost Per Millis: インプレッション1000回あたりの価格

*11:アプリ起動時にポップアップするなどして全画面に表示される広告